浦崎真子/「展翅板」より
つかのまに薄れてゆけるゆふやけにカーテンコールするごとく佇つ
日の中に腕差し入れて指先の確かめてゐる林檎の実り
展翅板にピンで留めらる幾千の蝶を思へり朝のラッシュに
同じ道登りて来り此処までをわたしは風をきみは雲みて
冬日さす卓に置かるるデコポンのデコの所より剥きはじめたる
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